階名テスト
私が中学生の頃だ。
私立のK中学へ通っていた。
K大学の付属中学であり、付属高校もあった。
希望する者は、エスカレーター式で内部進学できた。
「階名」とは、「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」
のことだ。
音楽の授業では、毎回、先生の横に行き、伴奏なしで、
教科書の曲の階名を歌う。
次の授業で歌うべき曲を歌ったら、10点増し。
次の次に歌うべき曲を歌えば、20点増し。
次の次の次に歌うべき曲を歌えば、30点増し。
私は、時には、<30点増し>も、狙った。
来る日も、来る日も「階名テスト」。
「何で、こんなに『階名』ばかり、覚えさせるのだろう?
『階名テスト』が、何の役に立つのだろう?」
30歳まで分からなかった。
エレクトーンを習い始めて分かったのだ。
「階名」を覚えていると、楽器が弾き易いのだ。
どうして、音楽のN先生は「楽器が弾き易くなること」を
教えてくれなかったのだろう?
私は、内部進学を希望せず、
「どうしても」行きたい高校が別にあったので、
頑張って歌っていた。
内部進学する者は、どうやってヤル気を出していたのか?
不思議だ。
内部進学した者は、可哀そうだったなあ、と今思う。
何かを教える時は、ぜひ、<目的>も教えてあげよう。
私は、授業で覚えた曲が、ラジオでかかると、
今でも、<階名>を歌ってしまうことがある。
投稿者 : 城田 博樹 | 投稿日時 : 2009.01.25 20:18