長男の眼
男は、いったい何歳で、
長男を自覚するのだろう?
次男の私にとっては、気に掛かることだった。
私の兄で確かめるのが、一番、良かったのだが、
兄は、もうすっかり成人していて、長男の自覚が<バリバリ>なので、
兄で確かめるのは、諦めざるを得なかった。
甥の裕章で確かめることにした。
久々に、裕章に登場してもらう(久々では、なかったかな?)。
裕章には、1歳下の弟がいる。
裕章は長男だ。
裕章が幼い頃から、観察を続けた。
3歳――まだ、全く、兆候は、ない。
4歳――年少さん。まだ、何も現れない。
5歳――まだなのだ。
小学生になった頃だ。
「アレ?」――私は変化に気付いた。
裕章の眼が変わったのだ。
「長男なんだ!
しっかりしなくては!」という自覚が見て取れた。
ありありと窺えた。<長男の眼>になってしまったのだ。
裕章は、まだ6歳(まだ、7歳の誕生日を迎えていなかったのだ)。<長男の眼>になるほどまでに変わるとは、思ってもいなかった。
瞳の奥の輝きに<覚悟>と言うか<自覚>のようなものが見えるのだ。
自分のことを、まだ、「俺」とも呼ばず、
「裕章」と名前で呼んでいるのに――<自覚>が生まれたのだ。
驚くべきことだ。
裕章も、もう高校生。
さあ、どんな大学生になるだろう?<長男街道>を突っ走ってもらいたいものだ。
兄も小学1年で、長男を<自覚>したのだろうか?
恥ずかしくて、今更、聞けない。
次男の私には、一生、体験できない<自覚>なのだなァー、と思う。
ヘラヘラしてて、ご免なさい。
投稿者 : 城田 博樹 | 投稿日時 : 2009.04.02 21:40