四月から忘年会
四月。
K.H.さんが、こんなことを聞いてきた。
「S君、忘年会の積み立てするか?」
「しません」
何回も聞いてきそうだったので、
次に聞いてきたときに、こうキレてやろうと思った。
「四月から、忘年会、忘年会って、
言わないでくださいよ!」
話は変わって、最近、時計を買ったときのこと。
文字盤に月の満ち欠けが表示される、
「ムーン・フェイズ」の時計が私は欲しかった。
ある時計店で「ムーン・フェイズ」の時計のことを尋ねると、
「欧米の人は、一年を52週間だと考えて予定を立てているのですよ」
と店員は教えてくれた。
「ふーん」
ちょっと待てよ。
このアッという間の一週間が、一年で、52回しかないのだぞ。
1日1日を過ごしていく上で、
四月から忘年会の話をするのは、間違いではないな、
と思うようになった。
この速い一週間が50回ほど過ぎ去って、年末になるのだ。
12月なんてアッという間に来るのだ。
また、忘年会の話をしてきても、K.H.さんにキレるのは、止めようと思った。
人生は短い。
(城田 博樹)