キョウソウ!〜競走!〜
春。
新興住宅地。
緩やかな坂道。
姉(高校3年生)と弟(中学2年生)が、
並んで登って行く。
午後7時。
あたりは、薄暗い。
姉は、高校の制服を着ている。
手に高校の革の鞄を持っている。
パンパンに張って重たそう。
弟は、ふだん着。
自転車を押して歩いている。
弟「何で、オレが、
アネキの塾のお迎えに来なきゃいけないんだよー?」
姉「いいじゃない。
どーせ、マンガでも読んでたんでしょ?」
弟「TV、観てたんだよ!」
姉「一緒じゃない?!
そうだ――キョウソウ!」
と言って、鞄を弟の自転車の前のカゴに投げ入れて、
坂道を急に走り出す。
弟「おい! 重い。
待てよ! 姉ちゃん!」
弟、自転車に乗り、
姉を追いかけようとする。
姉、振り返りながら、
「負けたほうが、ウッズの散歩!」
投稿者 : 城田 博樹 | 投稿日時 : 2009.04.18 19:22